相続税の控除には、どのようなものがあるのかご存知でしょうか。相続税の控除には、相続税が発生した時に使える7つの控除制度があります。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 贈与税額控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
ここでは、特に重要な①基礎控除と②配偶者控除の2つの控除制度の計算方法などを、紹介していきたいと思います。
このページの目次
① 基礎控除
基礎控除は誰もが適用できる控除で、全体の財産から差し引くことができる非課税の部分です。基礎控除は法定相続人の人数によって変動します。
- 基礎控除の計算方法
3,000万円 + (600万円×法定相続人の数) = 基礎控除額
相続財産の総額 > 基礎控除 この場合は、相続税の申告を行う必要あり
相続財産の総額 < 基礎控除 この場合は、相続税の申告を行う必要なし - 法定相続人の数を確定する
法定相続人とは、「実際に相続が発生した時に、民放の定めにしたがって遺産を相続できる人」のことです。
(1)配偶者相続人:被相続人の妻や夫
(2)血族相続人:被相続人の子どもや親、兄弟姉妹など血のつながった親族
配偶者は必ず法定相続人になりますが、その他の者は、被相続人と血縁関係にある人の中で、相続順位がもっとも高い人のみが法定相続人になります。 - 基礎控除額を計算する
次に、確定した法定相続人の数をもとに、基礎控除額を計算します。
例)法定相続人3人の場合
基礎控除額 3,000万円 + (600万円×3=1,800万円) = 4,800万円 - 相続財産をすべてリストアップする
次に、実際に相続する財産をすべて洗い出します。
ここで、ご不明点があれば、当事務所へ気軽に相談することをお勧めします。 - 相続財産の総額を計算する
相続財産をすべてリストアップできたら、その総額を計算します。
プラスの財産 - マイナスの財産 = 遺産総額 - 基礎控除額と相続財産の総額を比較する
基礎控除額と、相続財産の総額を比較します。その結果、基礎控除額の方が大きければ相続税の申告は必要ありません。
例)法定相続人3人・遺産総額1億円の場合
基礎控除額 3,000万円 + (600万円×3人=1,800万円) = 4,800万円
※遺産総額1億円-基礎控除額4,800万円 = 5,200万円
4,800万円 < 5,200万円
⇒この場合、基礎控除額を上回るので、申告が必要です。
② 配偶者控除
基礎控除は誰でも適用が受けられるものですが、基礎控除とは別に配偶者のみに認められている控除のことです。
控除額は、配偶者の法定相続分(相続人が配偶者と子供のみの場合には1/2)または1億6,000万円のどちらか多い金額まで認められており、配偶者が取得する相続財産がこの金額以下であれば配偶者に対する相続税はかかりません。
配偶者控除を受けることにより、相続税は格段に下がります。
しかし、配偶者控除を受けた方に相続が起きた場合、その相続税申告においては配偶者がいないことが多いため配偶者控除の適用は受けられなくなります。
父親の相続の時には1円も相続税がかからなかったのに、母親の相続の時には相続税が数千万円もかかるということも考えられます。このような場合に、現状相続税がどの程度になるかを知りたい方、配偶者控除など適用できる制度について知りたい方は、当事務所にご相談下さい。
まとめ
自分では「遺産は基礎控除より少ないから申告不要」と思っても、実は相続財産の計算を間違っていたなどのミスがあると、後から税務署に指摘されて申告し直したり、相続税に加えて延滞税や加算税など余分な税金を納めなくてはならなくなったりします。
基礎控除額以上の遺産がある、ということであれば、相続税申告が必要なケースかもしれませんので、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。