このページでは、相続税のキホンと題して、相続税の申告期限と期限内に申告を行わないことで生じうるトラブルや期限を超えてしまった場合の対処法についてご説明します。
このページの目次
① 相続税の申告期限
相続税の申告期限は、被相続人の死亡(=「相続開始」といいます)を知った日の翌日から10ヶ月以内です。被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に申告・納付を行います。
では万が一、申告期限を過ぎてしまった場合にはどうなるのでしょうか。期限内に申告ができなかった時に生じるトラブルについて説明します。
② 期限内に申告を行わないことで生じうるトラブル
申告期限を過ぎた場合はペナルティが課されます
相続税の申告期限である10か月を過ぎた場合、利息の性質である「延滞税」と罰金としての「加算税」の2種類のペナルティがあります。加算税には次の4種類があります。
・ 延滞税
延滞税は、期限後に相続税を納付した場合に追加して納付した相続税に対して課税されます。課税される税率は「年度によって変動」します。
・ 加算税
- 無申告加算税
無申告加算税は、正当な理由がなく申告期限内に申告しなかった場合に課税されます。「自主的に申告を行った場合は納付した税額の5%」「税務署の指摘により申告を行った場合は納付した税額の15%」が課税されます。 - 過少申告加算税
申告書の税額が実際より過少になっていた場合に発生するペナルティが「過少申告加算税」です。
税務署に指摘される前に自主的に修正申告を行った場合は課税されませんが、税務調査などで指摘され修正申告を提出する場合には課税されます。
税率は「追加で納付した相続税の10%」です。ただし、追加で納付した相続税額が50万円と期限内に申告した相続税額のいずれか少ない方を超える場合には15%が課税されます。 - 不納付加算税
源泉徴収した所得税を納付期限内に支払われなかった場合に課税されます。ペナルティとして、納付すべき税金の10%が課税されますが、税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合には5%に軽減されます。 - 重加算税
重加算税は、財産の仮装隠ぺいを行った場合に課税される重いペナルティです。「申告書を提出している場合は追加で納付した税額の35%」「申告書を提出していない場合は追加で納付した税額の45%」が課税されます。
③ 申告期限を超えてしまった場合の対処方法
申告期限を過ぎ、「災害、交通・通信の途絶その他期限内に申告書を提出しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められるとき」以外については、正当な理由なく申告していないとみなされ、ペナルティが課せられます。
相続人同士で争いがあり遺産分割ができずに、全ての相続財産を把握しきれないまま10ヵ月が経ってしまったという場合も相続税の申告期限を過ぎたことの正当な理由にはなりえません。
10か月を過ぎても相続税申告ができない場合、②で説明したように、無申告加算税が課せられます。原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算されます。
相続税の申告期限後であっても税務署の調査を受ける前に自主的に申告を行った場合は、無申告加算税が5%に軽減されるなどの措置がありますので、いかなる場合も、1日も早く申告・納付を行うべきです。
なお、期限後申告によって納める税金は、相続税の申告書を提出した日が納付期限となり、この日までの延滞税も併せて納める必要があります。
申告期限が過ぎている場合は、速やかに税理士にご相談することを強くお勧め致します。
当事務所では、申告期限間近な方や期限を過ぎてしまった方でも、蓄積されたノウハウを活かし、迅速な対応で相続税申告のお手伝いをさせて頂きます。