ここでは、生前対策について紹介します。
相続税を抑えたい方にとって、生前対策は有効です。生前対策が重要なことは理解していても、具体的に何から始めたらよいのかわからないという方のために、このページでは、生前対策の具体的な対策方法について、税理士に依頼するメリットや依頼しないことで起こりうる弊害についてご説明します。
このページの目次
1. 生前対策とは
相続税は生前対策を行うことで、実際の相続発生後にスムーズな申告が可能となります。具体的な生前対策方法として4つご紹介します。
(1)節税対策
節税対策は、生前に財産を贈与する「生前贈与」を利用して相続税の納税額そのものを減らす方法などあらゆる方法で行います。節税対策の最大のポイントは現状の財産の把握です。
相続税の対象となる財産がいくらあるのか?を把握することで、具体的な節税対策を行うことが出来ます。
(2)納税資金対策
生前に、節税対策と共に行う必要があるのは、相続税を納めるための「納税資金の確保」です。相続税の納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に「金銭一時納付」で納税しなければなりません。相続財産の大半が不動産などの現金化が困難な財産で、10ヶ月以内に納税資金を用意できなかった場合、相続税を支払うために、多額の借入を迫られることになってしまいます。
(3)遺産分割対策
相続人同士で、遺産争いをすることを「争族」といわれます。遺産争いをしていると、相続人が不幸になるばかりでなく、相続税法の最大の特典である小規模宅地の評価減と配偶者の税額軽減も使えなくなり、相続税も高くなってしまいます。争族対策として最も有効な対策は、「遺言書の作成」です。遺言は相続において最も優先されますので、厳格な書式が求められています。
(4)認知症対策
認知症の方は法律上、判断能力がないとみなされてしまいます。すると本人はもちろん、子供であっても認知症の親の財産を動かせなくなります。
また、相続人の中に認知症の方がいると遺産分割協議さえもできなくなってしまいます。家族信託の利用などの生前対策をしなければ、相続税の申告すらできなくなる危険性があります。
2.税理士に依頼するメリット
生前対策は一般の人だけで判断するのは難しい
税理士に依頼することで、正確な現状分析と税務的な判断を取り入れて、生前対策の検討ができます。所有している財産や家族の状況によって取るべき生前対策は異なります。相続税がそもそも発生するのかを含め、どのような財産があり、相続税はどの程度かかるのか、まずは現状を把握します。現状での相続税試算を行うことで将来の問題点や現在実施すべき対策を検討することが可能となります。その上で、具体的にどのような生前対策がどの程度の効果があるのかをシミュレーションを行い、有効な生前対策を判断します。税理士に依頼することで、正確な現状分析ができ、効率的な対策が可能です。
また、税理士なら、将来発生する相続税の金額の目安を計算することができますので、納税額をあらかじめ知ることができるのも大きなメリットです。
3.税理士に依頼しないことで起こりうる弊害
税金のことは全て法律で決められています。しかし、その法律は不変ではなく、税制改革により、見直しが行われています。その為、使えると思っていた制度が使えない、知らずに追徴課税を取られる、などということはよくあります。また、非課税の特例などは、対象の規定も細かく、制度を活用できるかの判断は難しく、間違えるリスクがあります。
子のマイホーム資金を非課税の特例を使い1,500万円を生前贈与する予定が、直前になって条件を満たしていないことが判明。子は住宅ローンを組んだ後だった為ローンの増額もできず、資金の調達に困っている。
この事例のように、自己判断で進めていくことにはリスクがあります。相続税専門の税理士は税制改正等についても熟知していますので、リスク回避のためにも税理士に相談することをお勧めします。