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1.事業承継のコスト
事業承継のコストにはどんなものがあるとお考えでしょうか?後継者に引継ぎをする為の書類の作成費用、専門家への相談料などを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、重要なのは税金コストです。最も高額になり、対策が求められているのは税金のコストなのです。
ここからは事業承継にかかるコストと、その対策について記載していきます。
①余計な税金
事業承継で最も問題になるのは、やはり高すぎる自社株の評価です。非上場株式の評価は経営者の皆様が思っているよりもずっと高く、億単位の評価になることばかりです。
譲渡の際には、何億という株式に対して税金が何千万も発生するのです。この税金が事業承継のコストとして最も厄介で、最も問題になります。
しかし、対策をすれば税金は減らせます。最も有効な対策は株価を下げることです。税理士などの専門家に相談をし、準備をすれば、合法的に株価を下げることはできます。
時間があれば、様々な方法を組み合わせて株価を下げる対策も講じられます。また最適なタイミング、つまり最も株価の低いタイミングでの事業承継を実施することで、事業承継にかかる税金のコストを抑える事ができます。
②訴訟等の費用
きちんとした手順、必要書類、各種規約等の整備、などをしておかなければ、訴訟トラブルが発生します。株式を手放すことに同意したはずの元株主が「同意していない」「無効だ」と主張し、訴訟トラブルになった事例もあります。事前に必要書類、証拠となる書類の準備をし、きちんとした手続きを取ることが、不要な訴訟のコストを発生させないためにも重要になります。
2.対策をすることでどのくらいのコストを抑えることができるのか、当社で支援させて頂いたお客様の具体的な事例をご紹介します。
①A社の場合
現状と問題点
現経営者の高齢の母(先代の妻)が保有する株式が高額である。相続が発生すると株式に対する相続税だけでも高額になる。
さらに、後継者の息子にゆくゆくは自分の保有する株式を引き継がせたいが、こちらにも相当額の税負担が発生してしまう。
対策後の効果
現経営者の母の保有する株式を原則評価すると約5億6,000万円だが、特例評価を使える仕組みを整え、約3,000万円での譲渡を可能にした。
これにより相続財産をおよそ5億3,000万円圧縮することができ、それに伴う税負担を軽減させることができた。
また、特例評価による譲渡により、現経営者、後継者以外の株式の保有状況を整理し、後継者に引き継がせる株式の数そのものを少なくし、将来のスムーズな事業承継の準備を整えることができた。
②B社の場合
現状と問題点
経営に参加していない兄弟が株式のおよそ5分の2を保有している。経営には参加していなくても、万が一の時には高額な相続税が発生するリスクがある。
また、経営者としては株式が第三者に拡散するのを防ぎたいが、買い取る資金はない。
対策後の効果
兄弟の保有する株式の評価は約10億円にもなっていたが、特例を使える仕組みを整え、約4,000万円で手放すことができた。手放した株式には取得条項という制限を付け、第三者へ株式が分散することを防ぐこともできた。